原田ひ香さんの『古本食堂』をAudibleで聴いた。
物語としてはとても面白く、最後まで飽きずに楽しめた。だが、ひとつだけどうしても気になる点があった。
それは――人名の漢字がわからない、ということだ。
Audibleの弱点:タカシマ古書店の「タカシマ」はどんな字?
Audibleは「音で楽しむ本」だ。
声優さんやナレーターの朗読によって物語が展開され、文字を追わずに物語世界に浸れるのが最大の魅力だろう。
しかし、その「音だけ」という点が、ときにストレスになることがある。特に、人名の漢字がわからないときだ。
たとえば本作に登場する「タカシマ古書店」。
聞いていると、「高島」なのか「高嶋」なのか、さっぱりわからない。
文字情報がないので、想像するしかないのだ。
そして実際には、なんと「鷹島」だった。
なるほど、これは予想できなかった。
「こりゃわからんわ……」と、思わず声に出そうになった。
人名は物語の手がかりでもある
人名の漢字には意味があるし、登場人物の背景や性格を反映していることもある。
たとえば「鷹島」という姓には、どこか格式や歴史を感じるし、古書店を営む家系というイメージにも重なる。
だが、これが「音だけ」で伝えられると、そのニュアンスはすっかり抜け落ちてしまう。
物語に登場するのは以下のような人物たち:
鷹島珊瑚(たかしま・さんご):鷹島古書店の店主・鷹島滋郎の妹
鷹島美希喜(たかしま・みきき):珊瑚の姪にあたる国文学の大学院生
「美希喜(みきき)」という名前にしても、どんな漢字なのかが分からなければ、印象が薄れてしまう。文字で見れば「美」と「希」と「喜」という三文字の重なりがどこか幻想的にも思えるのに、音だけではそこまでのイメージが広がらない。
オーディブルへのお願い:登場人物一覧や用語集をつけてほしい
というわけで、Audibleにはぜひ「登場人物の名前と漢字一覧」あるいは「作品用語集」のような付録資料を用意してほしい。
すでに一部作品ではPDF資料などが添付されている例もあるので、それがもっと一般的になると嬉しい。
とくに人名にこだわりのある作家や、歴史・文学系の物語には必須だと思う。
リスナーとしては、物語にもっと深く入り込めるし、ストレスなく楽しむためにも役立つはずだ。
『古本食堂』に登場した本も気になる!
ちなみに、『古本食堂』の中ではいくつか実在する本も登場する。
その中で印象に残ったのが、小林カツ代さんの『ハッと驚くお弁当づくり』。
古本を通じて人と人とがつながっていくこの物語にふさわしい、ぬくもりのある一冊だ。
まとめ:音だけでは伝わらないものがある
Audibleは素晴らしいサービスだし、今後もたくさんの物語を楽しみたいと思っている。
けれど、「文字がない」という点の弱点を少しだけ補ってもらえると、もっと快適に、もっと深く、作品世界に入り込めるはずだ。
Audibleさん、ぜひご検討をお願いします!
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